シナリオ 第3章 シノ爪痕
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チャプター 1
あなたは中央都市アルティカへ向かう街道を進みつづけていた。
やがて大きな尖塔が何本もそびえ立つ街が見えてきた。
行き交う人々も増え、ロット村周辺とは比べ物にならないほどの活気を見せている。
しかし、人々の顔色はどこか不安げである。
アレウスの言っていた、モンスターの出現が関係しているのだろうか。
ハムト「やっと街が見えてきたのニャ。疲れたニャー。」
テラス「私は、こんなにゆっくり旅をしたのはじめてで嬉しいな。」
トト「植物も動物も本物をじっくり見ると違うな。本では得られない知識だ。」
ハムト「あー、もう。やっぱり王都の転送装置でぱっと送って欲しかったニャ。」
アレウス「そう言うな。途中に現れたモンスターも退治できて良かったじゃないか。」
ルー「そうです。人々も安全に旅を続ける事が出来ます。」
ハムト「アルティカってどういうところなんニャ?」
ルー「アルティカは、元々王都のあった場所です。聖王様が現れ、王都が浮上した後に出来た都市なのです。
夢ノ国で一番はじめに出来た街で交易も盛んです。
多種多様な文化が溢れ、異世界からの旅人も訪れます。」
アレウス「アルティカは、一番はじめに出来たため比較的安定している。
アルティカを護る騎士団も精強だ。」
ルー「さあ、もう少しです。行きましょう。勇者様。」
チャプター 2
中央都市の巨大な正門があなたたちを出迎えた。
ルーは懐から奇妙な光を放つオーブを取り出すと正門を護る屈強な衛兵に見せた。
衛兵たちは目を白黒させながらあなたたちを中央都市の門の奥へ通した。
ハムト「ルーのもっているものニャんだか気になるかニャ?」
トト「あれは神官の通行許可証みたいなもんなんだよー。
聖王様の力が封じられていて、夢ノ国のどこの街でも入れるようになっているんだよー。
夢ノ国の兵士や要職についている人ならば、あれを見ただけでボクらが聖王様の遣いであるってわかるのさー。」
ハムト「ニャー!!全部言うニャ!!ハムトの仕事がニャくなるニャ!!」
トト「はっはっはっ。先に言ったもの勝ちなのさー。」
ハムト「もったいぶらずに、はじめっから使えニャ。こう掲げて歩けば、みんなお菓子とかくれるはずニャ。」
ルー「私たちが来たことがわかると混乱を招く恐れがあります。」
テラス「騒ぎになったら困るもんね。」
ハムト「普通に歩いている時はバレニャいニャ。何故ニャ?」
アレウス「我々の姿を知っている者は少ないんだ。」
あなたたちが話していると騎士と思しき一団が近付いてきた。
リーメラ「アレウス殿。ここにいらしたか。兵士に聞いて飛んできました。
はじめまして。私は中央都市アルティカの騎士団長リーメラと申します。」
リーメラの勧めで勇者たちは騎士団の詰め所へ通された。
簡素ながら温かい食事と飲み物が出され、勇者たちは人心地つくことが出来た。
リーメラ「…………。」
ハムト「ガツガツガツ。やっと普通の食べ物ニャ。」
ルー「リーメラさん。どうしました?私たちの顔に何かついていますか?」
リーメラ「(これが伝説の勇者……。そして4神官が揃っている。すごいことだ)
はっ。いえ何でもありません。
(そして、この変な生き物はなんなのだ)」
ハムト「ニャ?サインでも欲しいかニャ。」
リーメラ「(欲しい。サインが欲しい……。先日、アレウス殿にもサインもらいそびれたし)」
アレウス「リーメラ殿。中央都市周辺に不穏な動きがあると聞きましたが。」
リーメラ「は!? はい!!南方のほうから多くのモンスターが、こちらへ来ているとの報告があります。」
ルー「南方?シ凶のシェルティーの勢力圏ですね。」
リーメラ「今まで、シェルティーは自分の勢力圏から出ることはありませんでした。」
トト「ボクらが動きはじめたことが関係しているかもね。
黒キ者は、情報を掴むのが早いし。」
リーメラ「アルティカは夢ノ国の首都と言っても良い場所です。ここを危険に晒す訳にはいきません。
私はアレウス殿に鍛えていただいたアルティカ騎士団と冒険者を率いて奴等に先制攻撃をかけようと思っています。」
ルー「私たちにも何か協力できることはないですか?」
リーメラ「はい。みなさんにはアルティカを護って欲しいのです。
勇者様と4神官の方々がいれば、残した守備兵も心強いはずです。」
アレウス「なるほど、状況はよくわかりました。できる限りの協力をしましょう。」
ルー「私は治療術が使えます。騎士団の方々と一緒に行きます。」
リーメラ「それは危険です。」
ルー「いえ、夢ノ国の住民を護るのが神官の務めです。」
テラス「んー。こういうときは私は役たたずなんだよなぁ……。」
トト「そうでもないよ。ボクの千里眼の術とテラスの交心術を上手く使えばいいんだよ。」
テラス「ああ、そういえば、そういう技を練習したね♪」
トト「珍しく、テラス発案だったじゃないか。忘れたの?」
ハムト「残念娘にしては賢いじゃニャいか。」
トト「ボクの千里眼の術で敵を見つける。テラスは、それを交心術でみんなに伝えるんだ。」
アレウス「なるほど。それなら効率よく敵を倒せるかもしれないな。」
トト「アレウス兄さんは騎士団や冒険者の人と訓練したことがあるから。
テラスの交心術を通して、上手く指示が出せるはずだよ。」
アレウス「確かに。結界術を使いながらでも指示は出せる。」
テラス「私もがんばるよ!!」
リーメラ「よろしいのですか?」
アレウス「勇者よ。アルティカの守備は私たちだけで大丈夫だ。
ルーを護ってやって欲しい。」
トト「勇者のヒト。ルー姉さんを護ってあげてね。」
テラス「お願いします。勇者様。」
リーメラ「それでは出撃しましょう。」
ハムト「ニャ? ニャ?あ、まだ飯が終わってないニャ!!」
チャプター 3
リーメラ「勝った。勝ちましたよ。勇者様。
(すごい、勇者と4神官の力は本物だ……)
(勇者と4神官と一緒に戦ったんだわ。私ってばすごい)」
ルー「負傷した方は私のところへ来てください。」
ハムト「ニャんじゃ、余裕だニャア。ハムトが出るまでもニャイ。」
リーメラ「は!!(こんな妄想している場合ではないわ)
みなさんの連携は見事でした。敵を各個撃破することに成功しました。
(やはり勝利の記念にサインが欲しい……)
(しかし、私は立場がある身。ファンの様な行動は慎むべきであろう)」
ハムト「おい、おい!!」
リーメラ「は、はい。なんでしょう。」
ハムト「深刻そうな顔をして、お前も堅物系キャラニャのかニャ。」
リーメラ「まだ敵はいるのです。深刻な顔にもなります。
テラス殿の報告では、残ったモンスターが一箇所に集結しているようです。
一休みしたら、残ったモンスターを討伐しましょう!!
(この戦いが終わったら絶対サインをもらおう)」
ルー「こちらも負傷者の治療は終わりました。」
リーメラ「敵が態勢を整える前に叩きましょう!!
(握手ぐらいなら、怒られないでしょうか……)」
チャプター 4
リーメラ「今度の戦いは先程より甘くはなかったですね。」
ルー「負傷者も多いようです。態勢を立て直したほうが良さそうですね。」
ハムト「疲れたニャ。もっとのんびりした展開を予想していたニャ。」
ルー「展開?ですか?」
ハムト「そうニャ。こんな危ない目にばっかりあうとは聞いてないニャ。」
トト「(勇者のヒト気を付けて。そっちに強大な力を持った者が近づいているよ)」
ルー「トトの交心術ね。この気配は!?」
勇者たちの上空に、突如、裂け目が開いた。
その裂け目は、巨大な肉食動物の爪痕に似ており、何回も空を引き裂いた。
引き裂くような音が辺りに響き渡る。
裂け目を突き破り、人影が大地に降り立つ。
圧倒的な気を放ち、不敵な笑みを浮かべる。
シ凶の1人、南蛮シェルティーだ。
シェルティー「ニャンバンワ。ニャン蛮と呼ばれるシ凶。シェルティーニャ。
やっぱり神官たちが力を貸していたようだニャ。
そっちにいるのが勇者じゃニャ。見たところ、そんなに強そうじゃないニャ。」
ハムト「おい、ハムトもいるニャ。」
シェルティー「なんニャ? お前は?アタシとキャラ被りしてる奴は黙っとれニャ。」
ハムト「ニャ、ニャ、ニャんだとこいつ!!」
シェルティー「黒キ王より、お前たちの力を試せと言われているニャ。
アタシは戦うのが大好きだから、こういう仕事はもってのこいニャ。
みんな、もっと戦って傷ついて苦しむといいニャ。
そういう姿を見るのが大好きニャ。これがウォーニャ。戦争ニャ。」
ルー「そんなことはさせません。」
シェルティー「この先の土地をアタシの南方と同じように変えてやったニャ。
ルー、お前の術で塞がないと、この土地もあっという間に砂漠化ニャ。
モンスターを大量に放っておいたから、せいぜい気をつけるがいいニャ。
それではニャラバニャのニャ。」
シェルティーは猫のようなしなやかさで裂け目へと飛びこんだ。
後には、何事もなかったかの様に、澄んだ青空が広がっていた。
ハムト「ハムトとキャラ被りが出てくるニャと。許せんニャ。」
リーメラ「あれがシ凶なのですか……。いきなり空間から現れるとは……。」
ルー「ふざけていますが、恐ろしい相手です。シ凶は自分達に有利な空間を創り出すことができます。
アルティカを砂漠化させる訳にはいきません。」
リーメラ「せっかく開拓地も増えてきたことですし。負けられませんね。」
ルー「はい、一刻も早くシェルティーを追いましょう。」
チャプター 5
勇者の働きとルーの秘術により、砂漠と化した大地は元の平原へと戻った。
一息つく間もなく、南蛮シェルティーが空間を切り裂き現れた。
シェルティー「ニャンバンワー。これぐらいは余裕ってところかニャ。みんな焦ってて面白かったニャー。」
ハムト「こんニャのハムトと勇者ニャら余裕ニャのニャ。」
シェルティー「猫キャラはアタシ1人でいいニャ。お前はすっこんでろニャ。」
ハムト「ニャんだとー。シ凶とか言われているけど、どうせお前はシ凶の中で1番の小物ニャんじゃないか?」
シェルティー「ニャんだって……?」
ハムト「小物だから1番はじめに出てきたニャ。捨て駒ニャ。最弱ニャ。」
シェルティー「面白いニャ。相手になってやるニャ。黒キ王からは様子見だけと言われていたがこのまま殺しちゃうことにするニャ。
アタシの爪でぎったぎったのめっためたに引き裂いてやるニャ。」
ハムト「(こいつ、怒らせるとヤバイニャ!!言いすぎたニャ)」
シェルティー「この先に遺跡があるニャ。そこに界蝕を起こして、モンスターでアルティカを溢れさせてやるニャ。
アレウスとかいう奴の結界術で街には手をだせない。それでもいいニャ。アルティカの奴等は一歩も出れないニャ。
開拓地の奴等はモンスターに襲われるニャ。アタシが直接襲ってもいいかニャア。
止めるには遺跡に来るしかニャい。爪を研いでまってるから早くこいニャ。怖気づいて引きこもっていてもいいニャ。
ニャーッハッハッハハ。ニャン蛮の恐ろしさを味わうがいいニャー。」
シェルティーは荒々しく、空間を切り裂くと消えてしまった。
リーメラ「大変なことになってしまいました……。」
ルー「いえ、これはかえってシ凶を倒すチャンスかもしれません。
シェルティーは勇者様の力をみくびっています。油断しているのです。その隙をつけば倒せるかもしれません。」
リーメラ「私は何かお力になれないでしょうか?」
ルー「遺跡にはモンスターが多くいるはずです。リーメラさんにはモンスターたちを引きつけて欲しいのです。」
リーメラ「わかりました。」
ハムト「た、単純な奴ニャ。挑発にのりおって。これも作戦ニャ。
(怖かったニャ。殺されるかと思ったニャ)」
ルー「それでは、みなさん行きましょう!!」
チャプター 6
勇者たちは遺跡内の迷宮をひたすら進んだ。
夢ノ国には名前も由来もわからない遺跡が多く存在している。
一般には別の世界で忘れ去られた遺跡の記憶が夢ノ国で具現化したものと言われている。
それ故に不安定で界蝕が起こりやすく、モンスターの出現率も高い。
シ凶の力の影響で遺跡内部はモンスターで溢れている。
トトの千里眼とテラスの交心術を使い、騎士団は効率よくモンスターを倒し、敵を引きつけていた。
あなたたちは最小限の被害で南蛮シェルティーのいる最深部を目指して進み続けていた。
リーメラ「勇者様。私にとって勇者様と神官は小さい頃からの憧れでした。
聖王様と4神官は、私たちに生きる場所をお与えになってくださいました。
勇者様は、この世界の悪夢――『黒キ者』を倒す力を持っていると……。
私は、勇者様たちのお力になりたくて剣の腕と戦の指揮を学びました。
モンスターとの戦いで命を落とした仲間もいます。その者たちの命に報いるためにも……。
私たちの居場所。私たちの仲間。虚無の水面に沈むなんて考えたくもありません。
私は英雄ではありませんが、死力を尽くして戦います。
私が先頭にたちます。行きましょう。」
チャプター 7
ハムト「よく考えたら、今回は危ニャイからついてこなければ良かったニャ……。
いくら使命だからと言って死んでしまったら元も子もないニャ。
しかし、ニャハムート族の面子が立たないのニャー。」
ルー「このまま進めばシェルティーを追い詰めることが出来るでしょう。」
シェルティー「誰を追い詰めると言ったのかニャ。」
ルー「シェルティー!!」
シェルティー「そろそろ飽きてきたので、お前ら八つ裂きにしてやりにきたニャ。
普通に戦ったらアタシが勝っちゃうのはつまらないニャ。ハンデをやるニャ。
普段の十分の一くらいのパワーで戦ってやるニャ。じゃないと勇者を殺しちゃうニャ。
黒キ王から勇者は殺すニャと言われているからニャー。
まぁ、他の奴はニャんにも言われてないから、この場で八つ裂きニャ。
勇者の冒険は、はじまったばかりで終わりを迎えるニャ。残念だったニャ。」
ハムト「ニャんだー。勇者っ。こんな奴、秒殺ニャ。シ凶最弱だってこと思い知らせてやって欲しいニャ!!」
ルー「気を付けてください。勇者様!!」
シェルティー「ネコ、心配するニャ。お前は一番はじめに八つ裂きニャ。パーカーもいただきニャ。」
ハムト「ぞーーー。ニャハムート族からパーカーを奪うニャんて悪魔ニャー!!勇者、助けてニャー!!」
チャプター 8
あなたの攻撃が南蛮シェルティーの爪を跳ね上げ、その勢いで彼女の胴が無防備に晒される。
そこに繰り出された一撃がとどめとなりシェルティーはうめき声をあげながら宙へ吹き飛ぶ。
シェルティーは地面に落ちる寸前、素早く身を翻すと二本の足で着地した。
勇者を見つめる瞳には憎悪の炎が燃え上がっていた。
シェルティー「許さない。アタシにこんな屈辱を与えたのは、お前が初めてだ。
今ここでお前を殺す。黒キ王はお怒りになるかもしれないが、世界が滅ぶって訳でもニャいしなぁ。」
突如、シェルティーの体の周りを白い光が覆いはじめた。
光は輝きを増しながらシェルティーを包み始める。
シェルティー「これはなんニャ!!」
ルー「それは私の封印術です。聖王様のお力を使い、お前を封印します。
普段のあなたなら無理ですが、力を抑え弱っているあなたなら難なく封印できます。」
シェルティー「忌々しい神官め!!こんな術、アタシの爪で引き裂いてやる!!」
ルー「くっ……!!」
シェルティーは残る力を振り絞り強引に術を切り裂き、空間に爪痕を残す。
シェルティー「貴様ら覚えているニャ!!次に会ったら絶対引き裂いてやるニャ!!」
ハムト「行った……。勝ったのニャー。おとといきやがれニャー!!」
ルー「危ないところでした。」
ハムト「ルーやるじゃニャいか。あんな術があったとはニャー。」
ルー「はったりです。あの術にはシ凶を封印する力はありません。
あれば、もっと前に使っています。本気を出されたら危ないところでした。上手く逃げてくれました。
聖王様の名前に恐れをなしたのでしょう。」
ハムト「ぞーーーー、結構ピンチだったのニャ。」
あなたたちはリーメラと合流し、無事に中央都市アルティカに帰還した。
アルティカの住民たちには戦いの事を知らされていなかった。
南蛮シェルティーが攻めて来たことが知れ渡れば、住民がパニックになる恐れがあったからだ。
緊急の際には、浮遊する王都へ住民を強制転送することも考えられていた。
しかし、あなたの働きにより、南蛮シェルティーは撃退され、人々は平和な暮らしを続けていた。
テラス「勇者様、おっかえりー!!」
アレウス「勇者よ。危なかったな。無事で何よりだ。」
トト「ハムのヒトー。よかったねー。キャラ被りは南へ去ったよー。」
ハムト「偽ネコキャラは滅ぶべしニャ。」
ルー「トト。シェルティーは南へ去ったの?」
トト「南方のほうへ去っていったよー。シェルティーの勢力圏だねー。」
アレウス「今回、シェルティーが中央へ遠征する途中、かなりの街や村が被害にあったようだ。
そこを直しながら南方へ行こうと思うのだが。」
テラス「そうだね。困っている人を助けよう!!」
リーメラ「みなさん、もうお発ちになられるのですか?」
アレウス「一日休んだら出発しようかと思います。」
ハムト「え?ろくにアルティカを楽しんでないニャ。」
テラス「私も、もっと街を見たいなー。いろんな人やお店があるし。」
トト「ボクは、図書館を周りたかったなぁ。」
ルー「私たちは神官です。この世界の住人を護る義務があるのです。」
テラス「そうだね。仕方ないか。世界を平和にしたらゆっくりすればいいんだし。」
リーメラ「みなさんを街を救った英雄として、ささやかながら宴を催したいのですが……。」
ルー「ありがとうございます。食事はいただきます。」
リーメラ「私たちが勇者様にできることはないのでしょうか?」
ルー「リーメラさん。あなたも私たちと一緒に戦ったではないですか。」
アレウス「そうです。英雄と言うのならば、あなたも立派な英雄です。」
リーメラ「え、英雄……。わ、私が……?」
トト「そうだよー。なんだかんで、ボクは千里眼しか使ってないしー。」
テラス「命をかけて戦った、みんなヒーローだよ♪」
リーメラ「(しまった。感激して泣きそう)」
ハムト「そうニャ。戦友ニャ」
リーメラ「(ハムトさんは何もしてなかったような。むしろシェルティーを怒らせただけ……)」
ハムト「そんなにじーっと見るニャ。照れるニャ。」
その日の宴はささやかながら、とても楽しい一時であった。
一夜明け、神官たちは旅の準備を進めていた。
朝焼けの中、リーメラと騎士団員たちは見送りに訪れた。
リーメラ「ありがとうございます。みなさんのおかげで街は護られました。」
ルー「当然の事をしたまでです。」
リーメラ「みなさんの旅が少しでも楽になるように馬車を用意しました。」
ハムト「これで飛ばないですむニャー。」
リーメラ「食糧や、旅に必要そうな物は揃えておきました。」
アレウス「かたじけない。」
テラス「馬車なんてはじめてだよー。」
トト「南方までは距離があるからね。助かるよー。」
ルー「色々助かります。みなさんもお元気で。」
ハムト「おい、女騎士。お前にも餞別ニャ。」
トト「お、ハムのヒトにしては気が利くなー。」
ハムト「中にはお前が欲しがっていたものが入っているニャ。」
リーメラ「は!?(まさか、勇者様や4神官のサイン)」
ハムト「ウインクニャ。」
リーメラ「ありがとうございます。私たちは、これから都市周辺の警備に戻ります。
まだモンスターが残っているかもしれませんからね。」
ルー「はい、みなさんお気を付けて。」
勇者たちは南方へ向けて出発した。
一度でも命をかけて戦った者は戦友である。勇者も神官も関係ない。護りたいもののために戦った仲間なのだ。
騎士団は馬車を護衛するように進んでいたが、やがて各地へ散らばっていった。
残ったモンスターを捜索するためだ。
砂漠の地、南方までの道のりは遠い。
勇者たちの行く手には何が待ち受けているのだろうか。
トト「ハムのヒトー。リーメラさんに何をあげたの?」
テラス「すっごい気になるよー。勇者様も気になるよね???」
ハムト「ハムトのサインニャ。あの女騎士は、ハムトに熱い視線をおくっていたニャ。
絶対ハムトのファンニャ。人気者は辛いニャー。」
トト「きっと違うと思う……。」
テラス「私もそう思う。」
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